気候
ひと月に35日雨が降る・・・!
屋久島を紹介するときによく引用されますが、この言葉は小説家 林芙美子が著書”浮き雲”中で屋久島の雨を表現したものです・・・計算があわないのですが・・・
しかし、このように小説に書かれても納得するほど雨が多いのも事実です
気温・雨量
海岸部での年間降水量は約4400mm、山間部では何と10000mmに達すると言われています
ちなみに東京は1600mm位です。 大体ですが・・・比較的雨が少ない地方で1000mm前後、 多い地方で2000mm前後でしょうか
屋久島では沿岸部でも比較的多い地方の約2倍雨が降ることになります・・・これは日本では1、2位を競う量になります
気温
まずは、下の雨温図を見て下さい・・・気象データは、気象庁ホームページの過去の気象データから頂きました・・・ 屋久島と東京、大阪、種子島の過去30年(1980年~2009年)の平均値をグラフにしてみました
年平均気温は東京16.2℃、大阪16.8℃、屋久島19.6℃・・・緯度に関しては屋久島が一番南にあるので暖かいのは当然・・・と、ここまでは素直に納得・・・
ここで、夏の気温を見てみると・・何と屋久島が一番低い・・・こう言うと何ですが、大阪の暑そうなこと!!
注目してほしいのは一年の中での気温差(年較差)が屋久島が一番少ない・・・ということです
屋久島は暖かい黒潮に囲まれているため、海水温で冬は暖められ(海水温は最低気温よりも高い)、夏は冷やされる(海水温は最高気温よりも低い)・・・このように、屋久島は、回りの海が気温の上下を緩衝してくれるため、夏も冬も過ごしやすい気温であると言えます・・・このことを海洋性気候といいます
ただし、気温は日陰で測るので・・・夏の日向はご用心・・・紫外線の強さは南に行くと強くなります・・・よく晴れた夏に海水浴なんて場合は気をつけないと大変なことに・・・
雨量
屋久島の雨が多いのは上の比較からもわかるのですが、その原因を考えるため種子島にも登場してもらいます
種子島と屋久島はお隣同志で同じ海洋に囲まれています・・・気温の変化がほぼ同じなのは納得できるところです
・・・ところが、雨の量は2倍近く違います!
この雨量の差は、屋久島に有って、 種子島に無いもの(あるは逆)が作り出している・・・と、考えることができます
屋久島にあって、種子島に無いもの・・・それは、高い山です・・・
屋久島は九州で1番から7番の高い山が連なり、洋上アルプスとも呼ばれていますが、一方の種子島は最高点で282mしか有りません・・・
周囲の海に水蒸気をもらい、湿った空気が山を駆け上がり・・・雲となり・・・雨となって降ってくる
屋久島の多量の雨は、奥岳の高い山々が生み出すのです・・・
強い雨が降ると普段は岩肌の山腹のあちこちから水が流れ落ち、大きな滝では見事な水煙が上がり豪快な姿を見ることができます
また、風向きによって雨が降るところと晴れているところがあると、七色のはっきりとした大きな虹が見えます・・・虹ってはっきりと写真には写らないんです・・・上の写真の時も肉眼で見た時はもっとはっきりと見えましたね~
肉眼で青と紫が識別できる虹は都会では見たことがありません・・・しかも二重に虹が架かることも多く・・・本当に綺麗ですよ!!
でも、雨の日ばかりではありません・・・当たり前か?!・・・誤解の無いように・・・
亜熱帯から冷温帯
屋久島は緯度からわかるように本土より日照も強く、また、その周りには温暖な黒潮が流れ、 その影響で沿岸部は亜熱帯の気候(年間平均気温は約20度になります)になります・・・が・・・
屋久島には洋上アルプスと呼ばれるほど高い山々があります・・・高度が100m高くなると気温が約0.6度 下がるため、標高1936mの宮之浦岳山頂では沿岸部と比べ、約12度気温が低いことにな ります・・・単純に、年間平均気温が屋久島より12度低い所を探してみると・・・札幌あたりですかねぇ~・・・
沿岸部は鹿児島よりも暖かく、宮之浦岳山頂は札幌レベルの気温・・・
札幌の年間平均気温:9.8℃
宮之浦岳山頂の年間平均気温(推定):8.2℃
つまり、鹿児島から札幌までの気温環境が屋久島の中にある・・・この気温差が屋久島の植生を豊かに育んでいます
冬に強い寒波が来ると、標高800m位まで雪が降り、前岳と呼ばれる島の周辺にある山でも頂は白く雪化粧をします。 また、島中央の”奥岳”と呼ばれる山々では3~6mの積雪があります
・・・南の島なのに雪が降る・・・そのころ沿岸部ではハイビスカスの花が咲いています・・・