旅計画のアドバイス
屋久島ならではの計画のポイント!
屋久島の紹介でも触れているように、雨が多い、春・秋は結構寒い、意外に大きい(移動距離が長くなる)、見所も多い・・・ 等々・・・の意味で、快適な旅にするには幾つかポイントが有ります
ここでは、旅を快適にし、良い想い出を沢山作るためのポイントを幾つかご紹介したいと思います
計画を立てるに当たって・・・屋久島特有の条件
- 急峻な山が多く、体力を要するコースが多い
- マイナーなコースでは登山道が荒れており、地図の時間よりも多くかかる所もある
- 雨対策の装備と大雨の時や後は増水の危険性と渡渉ができなくなる場所もあることを知る必要がある
- 山・森の中は携帯が圏外の場所が多い
- メジャーなコース以外は山にトイレは無い
- 島としては意外と大きく、路線バスなどは本数が少ないため移動に計画性が必要
行きあたりばったりで、どうにかなるさ・・・では困ることもでてきます・・・事前の準備が必要ということはお分かり頂けると思います
1 島内での動き
図は、屋久島の主なトレッキング(登山)コースと見所です
この地図の県道を走り島を一周すると約100kmになります・・・意外と大きいですよね?
赤い線はバス路線です・・・島の西側(西部地域:永田~大川の滝まで約20Km)は交通機関はありません
宮之浦~空港~安房間の距離はそれぞれ約10Kmです
- 赤色文字・・・港、空港
- 緑色文字・・・登山、トレッキングコース・見所
- 黒色文字・・・集落
- 赤い点・・・・バス停
屋久島での動きは・・・例えば・・・
- 港(空港)
- (レンタル借)
- サブのトレッキング
- 宿
- メインのトレッキング
- 宿
- 島の見どころ巡り
- (レンタル返)
- 港(空港)
のような動きになると思うのですが・・・島が大きいため、港の位置・宿の場所・トレッキングの場所・訪れたい見所・レンタル店の場所などがうまく回れるように組む必要があります
移動のようすを線で描いたときに、一筆書きのように重なる線が少なくなるなるのが理想です・・・
例えば・・・最終日の午前にヤクスギランドトレッキング→空港から出立する場合・・・途中の安房でレンタル品を返してとなれば良いのですが・・・宮之浦まで行ってレンタル品を返却し空港に戻る・・・と約20km(30分以上)多くかかる・・・この時間消費は結構痛い!・・・
できれば、時間に少し余裕を作り、里でコーヒーを飲みながら、山に掛かる雲の動きをのんびり眺めるなど、贅沢な時間を作れるといいですね!・・・
2 登山と天候・装備
トレッキングの途中で雨が降ってきたら・・・困りますよネ~・・・こんな時は慌てずに用意してきた装備を出して、となるのですが・・・
*天候予報の確認
まずは天気予報を確認しましょう・・・前日の夜だけでなく、当日の朝にも・・・屋久島では前日夜に曇りの予報でも当日の朝に雨に変わるこは良くあります・・・入山直前にスマホの電波の入るところで雨雲の動きを確認する事もできます・・・天気が雨模様の時は必ず”警報・注意報”の確認を忘れずに・・・
また、天気予報は里の天気の予報です・・・山の天気は里よりも悪いと考える方が無難です
”警報・注意報”が発令されていなくても、天気(下り坂でかなりの雨量が予報されているなど)によっては登山を止める判断も大切です
*基本的な雨対策(装備)
雨具は必須装備です・・・朝晴れていても・・・防寒にも使えますし・・・
- 上下別のレインウェアー(ゴアテックス等の透湿性がある物が良い)
※コンビニで売られているようなビニールガッパは風が強いと切れることがあります - 傘・・・傘をさして歩くわけではありませんが、お弁当の時やザックの中身を出す時など・・・有ると便利
- ザックカバー・・・無いとザックの中身が濡れてしまいます
※ザックの中身はそれぞれビニール袋に入れてパッキングする - 登山靴、手袋、帽子・・・防水仕様がお勧め・・・
※靴・手袋に水が浸み込むと足先・指先が冷えます・・・体の末端部は冷えるとなかなか温まりません - 着替え用のアンダーウェアーを持つ
※山小屋等で濡れた物を着替えるとすごく楽になります - 衣類の材質に綿は避ける・・・綿は濡れたら肌に張り付き冷たい → 乾かないので体が冷えて低体温症を招きやすい
透湿性の高いレインウェアーを買ったから着替え等はいらない?・・・かと言うと・・・残念ながら、レインウェアーの中で結露するので、結露した水でウェアーの中が湿ってくるのが現実です
*トレッキング中の雨
雨で特に気をつけなけらばならないのが、渡渉点(川を渡る)のあるコースです
白谷雲水峡やヤクスギランドのような管理されたコースでは散策制限がかかりますが、それ以外のコースは特に表示もなく自己責任になります
普段はちょろちょろと流れているような場所なのに、大雨の時は増水して危険になる場所は・・・何箇所もあります
屋久島の川は急流なので流されたら助からず、実際に過去にはこのパターンの遭難が起きています・・・強い雨が降り始めたら引き返す、または渡渉点の先に行かない!等の慎重さが必要です
具体的にどれぐらいの雨で・・・というのは、前日までの降雨の様子によっても違います・・・また、自分のいる所が小降りでも川の上流で強い雨が降っていることもあるので・・・残念ながら、一言で、これ位と言うことができません・・・
3 自然の中の歩き方
歩くスピードは、その行程に掛かる時間を左右する大切な要素です・・・当然、計画そのものに影響します
山での歩くスピードは緩やかな斜面で時速2km(少しゆとりを持つと時速1.5kmほど)、少し急斜面だと時速1km、息が切れるくらいの急斜面は時速1km以下と考えると良いでしょう
☆地図などに記載された時間
気を付けていただきたいのは、地図の時間は休憩・食事の時間が含まれていないということです!・・・地図の時間で目的地に到着するということではありません・・・
※休息等の時間は個人差があるので、自分で加えてください・・・という考え方です
*一般的なハイキング地図の表記時間の基準
実際にの地図に表記してある時間には基準(各ハイキング地図に記載)があり・・・実際の屋久島ハイキング地図の例でいうと・・・
- 40歳~50歳の登山経験者
- 2~5名のパーティー
- 山小屋利用を前提とした装備
- 夏の晴天時
- 休憩含まず
・・・とあり、さらに各人の体力・疲労度によって相当の差異が生じるため参考程度に・・・と記載されています
*屋久島のハイキング地図に記載された時間
心配なのは・・・屋久島のハイキングコース地図に記載された時間は、本土のハイキングコース地図と比べて短い傾向があることです・・・
私自身、軽装ならば本土の地図の*割くらいの時間で・・・という経験をもとに計画を立てたところ・・・思ったより時間がかかったことがあります
地図の時間を参考に計画を立てるときは、充分な余裕をもって計画することが大切です!
*現地の登山口に表示されている時間
ヤクスギランドや白谷雲水峡など管理が行き届いている場所は、入り口の表示時間に休憩を加えればあまり問題は起こらないと思います・・・
※それでもヤクスギランドの長いコースで、”なかなか着かず途中で不安になった”という旅行者の話を聞いたことがあります・・・
特に、人があまり行かない地元の岳参りの山の表示時間の中には・・・えっ! こんなに短時間で行けるの?と思う時間が書かれていることがあります
※恐らく、地元の若い衆が岳参りの時に、力任せ・体力任せにガンガン登った時間だと思います
☆自然を感じながら歩くには・・・
白谷雲水峡やヤクスギランドはゆったりとしたペースでトレッキングすると、自然を感じながら素晴らしい一日になるのですが、 ガイドを付けていない人たちのペースは意外に速く・・・そんなに急がなくても・・・と思うこともあります
時間に充分に余裕をとって計画を立てても、知らない土地で、知らない山(森)を初めて歩くと・・・人の歩くペースは自然と速くなりがちです・・・ 自分がどこに居るのか分らない→何時着くか分からない→不安→ペースが上がる・・・こんなサイクルでしょうか?
汗をかいて頑張れば地図の時間で歩くこともできるでしょうが・・・屋久島の山(森)を短時間で歩いたことが何になるんですか?・・・あなたは一生懸命に歩くために屋久島に来たのですか???・・・速く歩く人を見るとこんな言葉を投げかけたくなります
息を弾ませ、汗をかいても色々なものを見ることはできるのでしょうが・・・時々立ち止まって深呼吸して屋久島の自然を感じることができると良いのではないでしょうか?・・・
4 ツアー等の参加
トレッキング中に道に迷うか?と聞かれれば、メジャーなコースであれば人もいますし、多少のトレッキング経験とゆとりを持った計画があれば心配はないでしょう・・・
ガイドを使うと、一人あるいは自分達のグループだけで歩いていると気づかないようなことを教えてくれたりして より多くの発見があるでしょう・・・もちろん、山に不慣れな人にとっては頼りになり、安全に関しても気づかないような所にも配慮してくれたりします
*ツアー形態
島のガイド全般について説明すると・・・ガイド形態についてはプライベートツアーと混成ツアーの2形態があり、下記のようになります
- プライベートツアー・・・申し込んだ人の貸し切りです
- 混成(合同)ツアー・・・他のグループと一緒になります
- *プライベートツアーは一人あたりの料金は割高になる傾向がありますが、貸し切りなので気を遣うことなく楽しめます
(疲れた時の途中変更も可能) - *混成(合同)ツアーは他のグループと一緒になり、料金は割安になる傾向があります
- *定員はどちらのツアーも2人(1人)~8人とツアー会社によって違いがあります
- ※プライベート、混成(合同)の区別を明確にしていないところは混成(合同)と思った方が良いでしょう
ガイドを依頼したとしても歩くのは自分自身です・・・ 自然の中に分け入るのであれば、自分の足で歩き帰ってくる体力を付けてくるのは自己責任として必要なことだと思います
*送迎
屋久島の多くのガイドは無料送迎をしていますが・・・宿までの送迎(多くの場合はこちら)をするところと、特定の場所に集合してから現地までの送迎をするところがあります・・・宿までの送迎であれば移動に関しても問題が解決することもあります
※宿が変わるときはガイドの送迎車に荷物を載せて移動
5 事前のトレーニング
屋久島は海底下の花崗岩が隆起して今の島になった・・・と言われていますが、隆起してできた山は深い谷を持つ急峻な地形になります・・・急な登りが続く山の登山は体力が必要です
日帰りの軽装であることを前提に日常生活でできるトレーニングをご紹介します
*トレーニングをお勧めする人
特に、以下の条件に当てはまる方は・・・トレーニングをすることをお勧めします
- 運動不足を感じている方
- 病気や怪我で長めな入院をしたことのある方
- 若いときと比べて体重が増えている方
- 若いときにスポーツ経験が有り、自信のある中年以降の方
- スポーツジムに週2回くらい通っている方
- 1~3はお分かりになると思います
- 4は自信が裏目に出ることも・・・年をとると確実に体力は落ちるという残酷な現実・・・
- 5が問題です・・・何で???・・・と思う方が多いと思いますが・・・
スポーツジムには様々なトレーニング機器がありますよね?・・・脚力の持続性を鍛えることはあまり楽しくないので、あまり時間を割いていないという人もいるんです
*お勧めのトレーニング方法
お勧めするトレーニングは・・・速歩と日常での行動・・・お金はかかりません・・・
- 通勤時、いつもより一駅離れた所で下車して歩きます・・・途中に上り坂や昇り階段があるとさらに良い
- ペースは脈拍が120~130(若い人)になるくらいで・・・歩幅を広く取り力強!・・・
※中年以降の人は苦しくならない範囲で、心臓がドキドキするぐらいの”少しきついな”と感じるペース
※体を前傾させずやや胸を張り、腰から進むような感じが大切です - 昇りでエレベーター、エスカレータはできるだけ使わず階段を使用する・・・元気な時は一段飛ばしで・・・
- 毎日とは言いません・・・一日置きくらいで3か月間(若い人)~半年(中年以降)~1年(還暦以降)・・・
- 速歩をしない日は、スクワットをするとさらに効果的!
これだけで結構違います・・・老婆心ながら・・・当日の山では大股の速歩はしてはいけません・・・
※ランニングの方が?という意見もありますが・・・当然、速く歩くよりランニングの方が効果は高いのですが・・・運動不足が重なって筋力が落ちている人がいきなりランニングを始めると膝等を痛めることがあるので注意が必要です